最近、日本版サブプライム問題に関して話題になっている。 これは、10年前の小渕政権の時代に景気浮揚策として住宅建設を促進させるため、住宅金融公庫(当時:現在は住宅金融支援機構)の融資条件緩和をしたのと同時に、ステップ償還制度を導入した事から発生する問題である。 ステップ償還制度自体は、それ以前にも存在したが、初期の返済額をより低く抑えるために当初10年間の金利を半分に抑えたというのが特徴である。
そして、その低利で返済できた10年という期限を今年から続々と迎えるわけである。 融資額と現在の返済額にもよるが、およそ2割以上(場合によっては10割前後)返済額が上昇するようである。 問題は、返済額の上昇もそうなのだが、アメリカのサブプライムローン問題と同様に、低所得者層に対して融資を行ってきたため返済が滞る可能性が高くなってきたという事のようである。
サブプライムローン問題と異なるのは、債権が証券化されてばらまかれているという事ではないので、最悪のケースでも住宅金融支援機構に対して税金を投入すれば済むという事であるようだ。 ただ、現実問題としては、ここ数年は賃金が上昇せずに徐々に下降しているという中での返済額の急上昇であり、これに伴う融資の焦げ付きが増えてきているという事である。 余裕を持って返済できている、それなりの年収がある層は銀行の住宅ローンへの借り換え(幸いにして金利が低下してきている)が出来るので返済額の急上昇を押さえられるのだが、低所得者層は非常に厳しい局面に立たされると思われる。
政府は、現在問題になっているサブプライムローン問題に伴う、世界同時株安・円高対策の他に、日本版サブプライム問題も解決せねばならず、ノンビリと構えている場合でない事だけは確かだ。 最近、閣僚の「他人事のような」発言が目立っているが、他人事ではないのである。 早急に対策を開始しなければ、本当に日本は景気後退局面に向かってしまうのだという事を肝に銘じて政策を立てて欲しいものだと思う。