アメリカのサブプライムローン問題は、意外なところに影響を及ぼしている。 この影響で、日本銀行は政策金利の利上げを出来ずに何ヶ月も経過していることは、皆さん御存知だと思う。
ところで、住宅ローンの金利はどうなっているか御存知だろうか? 実は、ここ数ヶ月は殆ど上昇していないのである。 何故かというと、基準となる長期金利が上昇していないからだ。
では、長期金利というのは何で決まるのだろうか? これは、基本的に長期債券の利率が目安になっているのである。 そして、長期債券の利率というのは債券の売買動向で決定される。 もちろん、政策金利も影響するため、日銀が利上げすれば上昇していくのだが、それ以外にも債券の売買動向という要素もあることは知識として持っておいても損はない。
現状、アメリカのサブプライムローン問題の影響から、リスクの高い金融商品からリスクの低い金融商品へ資金が流れているというのは、たまにニュースになっている。 リスクの高い金融商品というのは、株式であったり為替であったりする。 逆に、リスクの低い商品というのは債券(特に長期債券)だ。
債券の金利というのは、債券が売れると金利が下がり、売れなくなると金利が上がる。 考えてみると単純な話なのだが、売れなくなったときには金利を上昇させて買い手がつくのを待つのであるが、売れるときには無理に金利を上昇させる必要もなく売れるので、金利が低下するのである。
では、現在はどうかというと、資金が株式や為替から債券へ流れているので、長期金利は低下傾向にある。 今年の動きで言えば、6月中旬に1.985%を付けてから低落傾向にあり、先日は1.395%まで低下した。 その為、来月あたりに住宅ローンの金利が下がるのではないかという話も出ている。 単純に長期金利と住宅ローン金利が比較できる話ではないが、今年の夏に契約した人は金利的には不利な状況であることは間違いない。 しかも、長期固定金利にした人は、かなり不利であることは否めない。
もちろん、基本的には日本の場合は金利上昇局面にあるので、長期固定金利というのは悪くない話なのだが、コンマ何パーセントでも違えば、長期で考えると膨大な金額になるのは間違いのないところだ。
どうだろうか? 債券なんて投資をしている人にしか関係のない話だと思っていたかもしれないし、サブプライムローン問題なんて日本は関係ないと思っていたかもしれないが、実際には身近な住宅ローン金利に影響を及ぼすものなのである。 意外なところで、意外なものが繋がっている。 それが、経済というものなのである。
参考資料:国債10年もの金利(逆目盛)