先週末、米国で金融安定化法案が可決成立した。 しかしながらマーケットは米国の失政を許すことなく、混乱は週が空けても世界を駆けめぐっている。 先々週の段階で金融安定化法案が可決成立していれば、おそらくマーケットは好感を持って受け入れ、ひとまず混乱は収まったであろう。 しかしながら、マーケットを甘く見て自己保身に走った下院議員を許すことはなかった。 たぶん、この1週間の遅れは米国にとっては失政であり、公的資金の投入額を巨大なものにする結果になるであろう。
実は同様のことが今年の1月にも起こっていた。 FRB(連邦準備制度理事会)が緊急利下げをしたのだが、これも市場の期待から1週間遅れての利下げだったために、当初予想よりも大幅な利下げをせざるを得なかった。 1週間早ければ手持ちのカードを温存することが出来たのに、遅れてしまったばかりに利下げという大切なカードを失った。
米国政府・議会は、もっと日本のバブル崩壊以降の対応に関して学習すべきであるのだが、選挙を目の前にして学習意欲が減退しているように思われる。 ただ、日本のバブル崩壊以降の対応は日本国内で完結したが、今回ばかりは米国国内で治まらない状況になっている。 世界中が米国の失政による被害者になっていることを、もっと強く認識し、早く・大規模に手を打つべきである。
その様な状況で、昨晩のNYダウ30種平均株価は先日の777ドルを超え、一時800ドル超の下げとなった。 引けにかけてかなり戻したものの、マーケットの崩壊に歯止めが掛かる気配はない。 そんな中、マーケットで話題になっているのはFRBの緊急利下げである。 先週末から話題にはなっているが、既にマーケットは50ベーシス(0.5%)の利下げを織り込んだ催促モードに入っている。
ただ、気になるのは先に書いた米国当局による数々の失政である。 今回の利下げも本日中に発表されれば効果が期待できるのだろうが、遅れるとマーケットは失望の嵐となり世界同時株安・金融崩壊に歯止めが掛からなくなってしまうであろう。 日本に対して「Too Little, Too Late」と言ったのは、今現在混乱の中心にいる米国自身である。 他国に対して、そんな発言をする暇があったのならば、もっともっと学習していてもおかしくないはずである。 世界中は既に米国に対して「遅い!小さい!」という気持ちに傾いている。 迅速かつ効果的な策を打つよう、米国当局には期待したいものだ。