JALが2023年3月9日 0時から開始した「JALスマイルキャンペーン」に伴い、ウェブサイトに障害が発生し長時間にわたって解消しない事から、キャンペーンが中止に追い込まれるという事件が発生しました。結局、18時間以上に渡って障害が続く事になりました。SNSを観測していると3月8日の23時前から予兆があったみたいで、こんな投稿がありました。

コンサートとかのチケット販売サイトを利用された事がある方なら御存知かと思いますが、通常ですと発売開始直前くらいから重くなるものなのですが、1時間以上前から重くなるというのは明らかに異常です。その段階から障害発生の予兆があったという事なんですよね。恐らく、事前にサーバー強化をするなどの対策をしていなかった事が見て取れますが、JALは原因について公表する事はないとの事なので真相は明らかになる事はないでしょう。

ただ、一般的に通常と異なるイベントがある場合には御客様に御迷惑をおかけする事がないよう事前に関係各所と調整をして、障害が発生する事がないように備えておくものではありますが、先にANAが発表してキャンペーンを行っていた事、そしてANAに遅れる形でJALが急遽発表した事を考えると、事前の調整が行われていなかった(結果として、事前の対策が行われなかった)可能性もあると考えられます。

さて、中小企業では類似の障害が発生する事はあるのでしょうか?学ぶ部分はあるのでしょうか?

実は、密かに頻発している例として「テレビ番組での露出に伴うサーバー障害」が挙げられます。

テレビ東京系の経済ドキュメンタリー番組等で中小企業が露出した際には確実に観測されます。あと、旅行番組でも観測できます。テレビ東京系は視聴率的には一桁台前半が普通であり、低い部類に入るのですがサーバー障害を招いてしまうんですね。原因として考えられるのは「テレビ番組での露出に伴うアクセス数急増を予見できない」或いは「テレビ番組での露出がある事を情報システム関係者が知らなかった」という所かと思われます。

弊社の御客様の中には頻繁にテレビ番組に露出する会社様もあるのですが、事前に相談があります。代表が元テレビマンなので視聴率の予測が出来、影響の推定が出来るという事があります。その御客様のサイトはクラウド(SaaS)を利用しているため、弊社への影響は極めて限定的ではあるのですが相談してくださいます。こういう相談が情報システム担当者にあれば、かつ、テレビ番組での露出に伴って他社がどうなったかを御存知であれば事前に対策も出来る可能性はあるかと思います。逆に、事前に対策しておかないと「せっかくテレビ番組に露出しても、障害によって機会損失を招いてしまう」事になってしまいますので「大変勿体ない」と思います。

弊社で観測した事例を記しておくと、テレビ東京系の全国ネット番組で露出した場合、露出直後にアクセスが急増し、ピークでは5分間で1,000を超えるアクセスが押し寄せます。殆どの中小企業のサイトでは瞬殺という状態になってしまい、番組終了までサイトの表示が出来ないという事態を招いてしまいます。日本テレビ系の人気全国ネット番組で露出した際には、その2〜3倍のアクセスが押し寄せます。事前の対策が如何に重要かお分かりになるかと思います。

JALの障害に学ぶところは「事前に情報システム部門やサーバー管理会社と調整して、機会損失を招かないように増強しておく」という点に尽きるかと思います。テレビ番組については当然ながら事前に取材を受けるので、その段階で調整を開始する事は可能かと思います。

中小企業にとって、せっかくの機会を活かせないのは大変に勿体ない話ですから。

ちなみにCMを打つ際には、このような問題は発生しません。何故ならCM中は視聴率が激減する(トイレに行く、他のチャンネルに移行する等のため)からですね。CMは一日に何回も打つ事によって総視聴数を稼ぐものであり、番組のように極めて短い時間で視聴数を稼ぐものではないため影響が限定的になるという事が言えます。